京都弁(気品と間合い): 「〜しはる」「〜でおす」など、物腰が柔らかく聞こえる言葉遣いが特徴です。相手を立てつつも、絶妙な距離感を保つ「はんなり」とした文化が言葉に息づいています。
- 京都弁:階級社会を生き抜く「洗練と気配り」の言葉
明治維新まで1000年以上もの間、天皇や公家、さらには洗練された職人たちが暮らした政治・文化の中心地でした。身分制度や複雑な人間関係の中で、「相手を傷つけず、自分の本音も悟らせない」という必要性から、「婉曲的(まわりくどい)で、語尾が長く、優雅な響き」を持つ京言葉(京都弁)が磨かれました。
京都弁使用例ニュアンス解説一覧
| No | 標準語(意味) | 京都弁(京言葉) | 使用例・ニュアンスの解説 |
|---|---|---|---|
| 1 | おはようございます | おはよさんどす | 朝の丁寧な挨拶。柔らかい響きになります。 |
| 2 | こんにちは | こんにちは | 一般的な挨拶。親しい間柄では「まいど」も。 |
| 3 | こんばんは | こんばんは | 夜の挨拶。イントネーションが独特です。 |
| 4 | さようなら | さいなら / おくれやす | おくれやすは「お見送り」の際にも使います。 |
| 5 | いらっしゃいませ | おいでやす / おこしやす | 一見さんは「おいでやす」、常連さんは「おこしやす」。 |
| 6 | ありがとう | おおきに | 京都を代表する感謝の言葉。 |
| 7 | ありがとうございました | おおきに、おたの申します | さらに丁寧な感謝の表現。 |
| 8 | すみません(謝罪) | 堪忍(かんにん)な | 許してください、ごめんねという意味。 |
| 9 | すみません(呼びかけ) | ちょっと、よろしおすか | 相手に話しかける際の上品な切り出し方。 |
| 10 | いただきます | いただきます | 食事の前の挨拶。 |
| 11 | ごちそうさまでした | おちそうさんどした | 食後の挨拶。「ご」が「お」に変化します。 |
| 12 | おやすみなさい | おやすみやす | 夜、目上の人や家族にかける言葉。 |
| 13 | お疲れ様でした | お疲れさんどした | ねぎらいの言葉も上品に変化。 |
| 14 | お久しぶりです | お久しゅうおす | しばらく会っていなかった人への挨拶。 |
| 15 | お元気ですか? | おきばりやす | 「頑張ってください」の意味でも広く使われます。 |
| 16 | 行ってきます | 行ってまいります | 比較的標準語に近いですが、間伸びしたイントネーション。 |
| 17 | 行ってらっしゃい | 行ってらっしゃいまし | 送り出す際の上品な語尾。 |
| 18 | ただいま | ただいま戻りました | 帰宅時の挨拶。 |
| 19 | お帰りなさい | お帰りやす | 帰ってきた人を迎える言葉。 |
| 20 | どうぞお入りください | あがりやす / おあがりやす | 家に人を招き入れる時の定番フレーズ。 |
| 21 | とても / すごく | えらい / おおきに | 「えらい重たい」などで使用。「おおきに」も強調で使います。 |
| 22 | 本当に | ほんまに | 確信を持っているときの表現。 |
| 23 | 違うよ | ちゃいますえ / ちゃうで | 否定の言葉も語尾で柔らかくなります。 |
| 24 | ダメだよ | あきまへん / あかんえ | 禁止の表現。「あきまへん」の方が丁寧。 |
| 25 | どうしたの? | どないしはったん? | 相手を気遣う「〜しはる」の敬語表現。 |
| 26 | そうだよ | そうでおす / そうやえ | 肯定の表現。男言葉では「そうやで」。 |
| 27 | 嘘でしょ? | 嘘でおすか? / ほんまに? | 信じられない時の上品な驚き方。 |
| 28 | どこ行くの? | どこ行きはるん? | 相手の行き先を尋ねる丁寧な表現。 |
| 29 | 来ないの? | きはらへんの? / 来えへんの? | 「きはらへん」は京都特有の柔らかい否定。 |
| 30 | 〜している | 〜してはる | 京都弁の真髄。他人の行動にはほぼ必ず「はる」がつきます。 |
| 31 | 美味しい | おいしおす | 食べ物を褒める上品な言葉。 |
| 32 | 不味い(まずい) | 味気ない(あじけない) | ストレートに「まずい」と言わない配慮。 |
| 33 | 格好いい | シュッとしてはる | スマートで洗練されている人を指します。 |
| 34 | 可愛い | かいらしい / めんこい | 「可愛らしい」が変化した形。 |
| 35 | おもしろい | おもろおす | 興味深い、楽しいという意味。 |
| 36 | つまらない | しょうもない / 頼りない | 価値がない、おもしろくない状態。 |
| 37 | 賑やか(にぎやか) | わやわやしてる | 人が集まってがやがやしている様子。 |
| 38 | 静か | しんとしてる | 落ち着いた状態。 |
| 39 | 恥ずかしい | 恥ずかしおす / はずい | 照れくさい様子。 |
| 40 | 可哀想(かわいそう) | 気の毒おす | 相手に同情する言葉。 |
| 41 | 眠い | 眠たいおす | 眠気を感じている状態。 |
| 42 | 暑い | 暑おす | 京都の盆地の厳しい夏の口癖。 |
| 43 | 寒い | 寒おす / 底冷え(そこびえ)する | 京都の冬の寒さを表す言葉。 |
| 44 | 痛い | 痛おす | 体に痛みを感じたとき。 |
| 45 | お腹がいっぱい | お腹太った(おなかふとった) | 満腹の意味。他県民が驚く京都表現の一つ。 |
| 46 | お腹が空いた | お腹減った / ひもじおす | 空腹の状態。 |
| 47 | 喉が渇いた | 喉乾いた | 水分を欲している状態。 |
| 48 | 疲れた | えらおす / しんどおす | 「えらい」は疲労の意味でも大活躍します。 |
| 49 | うっとうしい | じゃまくさい / むさくるしい | 煩わしいと感じる状態。 |
| 50 | 面倒くさい | めんどおす / かったるい | やる気が起きない状態。 |
| 51 | 構わない(気にしないで) | かまいまへん | 問題ないよ、と相手を安心させる言葉。 |
| 52 | 捨てる | ほる | 関西全般ですが、京都でも標準的に使います。 |
| 53 | 片付ける | なおす | 元の場所に収納するという意味。 |
| 54 | 怒る | おこる / 腹を立てはる | 感情を害した状態。 |
| 55 | 走る | 走りゃはる | 「走る」の丁寧表現。 |
| 56 | 歩く | 歩きゃはる | 「歩く」の丁寧表現。 |
| 57 | 話す | 喋りはる | 会話をする様子。 |
| 58 | 食べる | 食べはる / よばれる | 「ごちそうになる」を「よばれる」と言います。 |
| 59 | 飲む | 飲みはる | 飲料を口にする様子。 |
| 60 | 見る | 見はる | 視線を向ける様子。 |
| 61 | 聞く | 聞きはる | 耳を傾ける様子。 |
| 62 | 書く | 書きはる | 文字を記す様子。 |
| 63 | 呼ぶ | 呼びはる | 人を招く、声をかける。 |
| 64 | 待つ | 待ちゃはる | 待機する様子。 |
| 65 | 起きる | 起きゃはる | 起床する様子。 |
| 66 | 寝る | 寝はる | 就寝する様子。 |
| 67 | 遊ぶ | 遊びゃはる | レジャーや楽しむ様子。 |
| 68 | 終わる | 終わりやす | 物事が完了すること。 |
| 69 | いじいじする / 触る | いじる | 物を手で触る、弄する。 |
| 70 | あげる(与える) | あげる / 進ぜる(しんぜる) | 非常に古い京都の商い言葉の名残。 |
| 71 | もらう | もらはる / いただく | 受領する様子。 |
| 72 | 捨てる(放り出す) | うっちゃる | 京都でも年配の方がたまに使います。 |
| 73 | 伝える | 言わはる | 伝達する様子。 |
| 74 | 新調する(新しく買う) | おろす | 新しい服や靴を初めて使うこと。 |
| 75 | 座る | おすわりやす | 相手に席を勧める時の言葉。 |
| 76 | 冷やす | 冷やさはる | 物を冷たくすること。 |
| 77 | 温める | ぬくめる | 「これ、ぬくめておくれやす」のように使います。 |
| 78 | 焦る | せかせかする / 気ぜわしい | 落ち着かない様子。 |
| 79 | 調子に乗る | いちびる | 大阪ほど激しくないですが、京都でも通じます。 |
| 80 | お高くとまっている | お上品ぶる / 気取りはる | 気取っている人を少し皮肉るニュアンス。 |
| 81 | ぶぶ漬け(お茶漬け) | ぶぶ漬け | 「ぶぶ漬けでもどうどす?」は早く帰っての合図。 |
| 82 | おばんざい(惣菜) | おばんざい | 京都の家庭に伝わる日常のお惣菜。 |
| 83 | (他人の)子供 | ややこ | 赤ん坊や小さな子供を指す古い言葉。 |
| 84 | ~さん(敬称) | ~はん | 「舞妓はん」「お姉はん」など、名詞につく形。 |
| 85 | 気難しい人 / 偏屈 | ややこしい人 | 扱いが難しい人をオブラートに包む表現。 |
| 86 | 愛想が良い | 愛想(あいそ)がよおす | 接客や人当たりが良いこと。 |
| 87 | いけず(意地悪) | いけず | 京都の意地悪や嫌がらせを指す有名な言葉。 |
| 88 | うっかり者 | おっちょこちょい / 抜けてはる | ドジな人を柔らかく指摘する言葉。 |
| 89 | 〜だから(理由) | 〜さかい / 〜やさかい | 「〜から」の京都特有の接続詞。 |
| 90 | 〜です(断定) | 〜どす | 「〜です」の京都の伝統的な語尾。 |
| 91 | 〜でしょう?(同意) | 〜やろ? / 〜でおすやろ? | 相手に同意を求める語尾。 |
| 92 | 〜してください | 〜しておくれやす | 上品な依頼の表現。 |
| 93 | 男の子 | ぼんぼん | 良家のお坊ちゃん、息子を指す言葉。 |
| 94 | 女の子 | いとさん / お嬢さん | 良家のお嬢様を指す伝統的な言葉。 |
| 95 | いつも | 年中(ねんじゅう) / いっつも | 頻度を表す言葉。 |
| 96 | 時々 | たまに | 標準語に近いですが、イントネーションが異なります。 |
| 97 | 全く(~ない) | さっぱり | 否定を強調する表現。 |
| 98 | 早く | はよ / 早う | 「はよおいでやす」などで使用。 |
| 99 | ゆっくり | ようやっと / ゆるりと | 自分のペースで落ち着いて行う様子。 |
| 100 | 最後に一言 | おきばりやす | 京都から相手を応援する万能の言葉。 |


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